ミトコンドリアの活性 2016年11月20日
前に記載した“細胞と神経”のなかで触れていますが、ミトコンドリアというものが私たちの細胞の中に含まれて
います。その中で記載した通り、ミトコンドリアは、私たち生物の進化のもとになる発祥の物質なのです。
ここでは、ミトコンドリアの活性ということについて述べていきたいと思います。ミトコンドリアは、私たちの
体内に取り込んだ酸素と栄養分をエネルギーに変換させる役目を担ってくれています。1つの細胞の中に数百から
数千個存在しているミトコンドリアなのですが、年とともにだんだん数を減らしてきて、力が出なくなったり、思
考が思うようにできなくなったりしてきます。そしていずれは、身体を支えるエネルギーを作り切れなくなって、
やがては、死を迎えることになるというわけです。
最近の研究で、このミトコンドリアを活性化させてその数を増やす方法というのが、わかりつつあるようです。
大別して、3つの方法が言われています。一つ目は、身体を冷却させること。
二つ目は、有酸素運動の励行。三つ目は、栄養の遮断。です。
いずれも昔から言われていた健康法にもあるのですが、なぜ良いのかがこんなところからも解明されてきています。
ではそれぞれについて説明していきましょう。
最初の身体を冷却することとは、雪山などで身体が冷え切ってしまったとき、ふと体内がぽかぽかしたとか、寒風
の中で長時間過ごした後、身体ののなかが暖かくなってくるのを経験されたことはありませんか。その時が、体内
のミトコンドリアが増えた瞬間だと言います。冷え切った体を元に戻すためにミトコンドリアを増やしてエネルギ
ーを補充しているのです。
こうした経験に基づくものなのか、冷水浴、冷風浴、乾布摩擦が健康に良いとされてきました。サウナの後の水風
呂も効果があるといいます。
2つ目の有酸素運動の励行です。速足で歩き始めたとき、出だしはとてもつらく感じるのが、歩き続けているとだん
だんそれほどでもなくなってくる。
それが、ミトコンドリアが増えたことなのだそうです。身体が長期に酸素を必要とする運動を続けることでエネル
ギーを補充しなければならないと、ミトコンドリアが増えてくれるのです。
ちょっときつめのウォーキングなどの有酸素運動が最近奨励されているのは、こうした効果があるからなのです。
3つ目は、栄養の遮断です。エネルギーのもとは、栄養分と酸素ですから、栄養分が足らなくなってくると十分なエ
ネルギーを作れなくなってしまいます。そこで、少しでもエネルギーを作り出そうとミトコンドリアが増えてくれる
というわけです。
世の中の一般的な例として、栄養過多のひとより粗食のひとほうが長生きというのもこんなところに原因があるのか
もしれません。
腹八分病なしのことわざもあります。意識して食を細くするのも大事なのかもしれません。肉体労働のない休日は2食
もよいのかもしれません。
こうして、寒さ、酸素不足、栄養不足に反応してミトコンドリアが増えてくれるのですが、その基になるのは、神経
系統の働きです。
これは、私たちの意識で働く神経ではなく、自律神経と言われるものです。
これが、私たちの命を生かしてくれているのです。
こうした仕組みは、私たち人間が作ったものではありません。
この仕組みのなかには、活きて生きて生きぬくという意志が込められていると思うのです。こうした現象と向き合う
ときに、私たちは自らの意識で生きているのではなく、計り知れない働きに生かされていると感じ取れると思うので
す。生かして頂いているといったほうが良いかもしれません。
この自律神経に向き合う、私たちの意識の姿勢のみが我が生命に働きかけられる唯一の手段だと思うのです。
この働きかけ方を、まとめにしたいと思います。
自律神経を円滑に働かせるために必要なことは、神経系統のバランスを崩さないこと、人は交感神経と副交感神経を
入れ換えながらバランスをとって生きています。これを崩さないことです。緊張したら、緩める時間をもつ。
ストレスを感じたら、あえて外す時間をとる。これが意識の働きかけることのできるわずかなることだと思います。
あとは、自律神経がやってくれます。
そして、一番大事なことは、自律神経系の意志と同じ意識、つまり生きて生きて生きぬく積極的な心をもって生きて
いくことなのではないでしょうか。